紗夜
「あの日の短冊に私はこう書いたの…
 「日菜とまっすぐ向き合えますように」…と。
 その願いを星が叶えてくれるわけもない。
 叶えるのは私自身なのだと。
 だから前よりもあなたといる機会を作るようにした。
 そうすれば短冊の願いを叶えられると思ったから…
 そんな時、久しぶりにあなたの演奏を聴いて技術に囚われない魅力的な音をしていると思ったの。
 「音楽を楽しんでいる」
 私にはないそんな音がした。
 あなたに負けない為に、何にも左右されない技術を磨いてきたけれど…
 いつしか私は音楽なんかそっちのけで友希那と話している時もハロウィン限定バーガーのことで頭がいっぱいになっていた…
 ポテトのことを考えながら弾いたギターの音なんてつまらない音で当然よね」