●「出現確率」の嘘

 そもそもの発端は、キャラクターが出現するガチャキャンペーンで、ゲーム内の説明では「出現確率3%」と表記されていました。

 しかし、その確率に疑問を感じたユーザーの1人・Tomasさんが運営に問い合わたところ、運営からは「ガチャを引いてキャラクターが出てきたときに3%の確率で出現する」という意味の回答があったとのこと。

 同作のガチャでは、キャラクターやその破片、成長アイテムなどがランダムで排出されますが、単発で引いた場合、キャラクターが出現する確率は10%程度といわれています(※詳細な確率は非公開/10蓮ガチャだとキャラクター1体確定)。
ガチャを引いてキャラクターが出現する確率は“そこからさらに3%”ですから、実際は3%よりもはるかに低い確率ということになります

●チャイナゲーム会社の“虚偽”回答が火に油を注ぐ。

 これを知ったTomasさんは、この「出現確率3%」という表記が、景品表示法の“有利誤認(実際に提供されている商品より有利であるかのように誤解させる表示)”にあたるのではと指摘し、返金を求めます。

 これに対しチャイナ会社OURPALM側は「キャンペーンページに記載があった」と反論。しかし、Tomasさんがあらかじめ保存しておいた説明ページを確認しても、そのような記載はありませんでした。

 これに怒ったTomasさんは、チャイナ会社OURPALMに対し「一週間以内に返金に応じなければ訴訟を起こす」と内容証明を送ります。
もともとTomasさんはチャイナ会社OURPALMが謝罪し、その後の運営を正してくれれば訴訟までは考えていなかったのですが、結果的に、チャイナ会社OURPALMの不誠実な対応が火に油を注ぐことになりました。

●チャイナゲーム会社はさらに斜め上の対応も..

 Tomasさんはこれで謝るか……と考えていましたが、チャイナ会社OURPALMの対応はその斜め上を行きました。
チャイナ会社OURPALMの返答は「Appleに『課金したけど反映されなかった』と伝えて返金を求めるように」――つまり、虚偽の報告による返金をすすめられたとのこと。
Tomasさんがそれを拒否して訴状を送ると、今度は秘密保持契約を結び、訴訟を取り下げることを条件にダイヤを補填すると提案されたそうです。

 しかし、この対応がTomasさんの怒りにさらなる火をつけることに。Tomasさんは「裁判して事実関係を明らかにして、プレイヤーをだましたら処罰される前例を作ろう」と徹底抗戦を決意します。
Tomasさんが個人の返金を求めて裁判で勝てば、同じ状況にある他のプレイヤーも、同じように返金を求められるようになるためです。

訴状が届かない!→特定商取引法違反も発覚

 ところがその後、訴訟の準備をすすめる中で、さらに驚くべきことが起こります。送ったはずの訴状が「宛先不明」で戻ってきてしまったのです。

 通常、オンラインで品物を販売する会社は、住所、代表、電話番号、メールアドレスなどを正確に掲載することが「特定商取引法(特商法)」で必須とされています。
そこで、Tomasさんは特商法の記載のある住所に存在するビルに問い合わせましたが、ビル側によればそのような会社は入居していないとのことでした。

 消費者庁に問い合わせてみたところ、これは明確に「特商法違反」との回答を得ました。
現在、ゲーム市場ではチャイナのメーカーを中心に、特商法表記の違反が多くなっていますが、そもそも連絡先を正しく表記していないため、消費者庁側も指導ができない状況になっているのだそうです。