シマウマさん、走ってしまう
シマウマ(縞馬、斑馬)は、
哺乳綱ウマ目ウマ科ウマ属(Equus)のうち、
白黒の縞模様を持つ系統である。
数種(現代的な分類では3種)からなり、
それらは単系統であるシマウマ亜属(Hippotigris)をなす。
和名はシマ「ウマ」だが、ウマよりロバの系統と近縁である。 特徴
形態
シマウマは概して草を食す植物食である。
シマウマの外見的特徴は、毛の黒地に白の縞模様に加え、
大きな耳、先端がふさ状になった尾など、
その姿は野生のロバとよく似ており、鳴き声もロバに近い。
ゆえに「縞模様のロバ」と呼ぶ言語もある。 縞模様の効果についての研究
シマウマの縞模様の効果は、捕食者が狩りの獲物とする
個体を識別しにくくすることといわれてきた。これは、
霊長類以外の哺乳類は色の識別能力が低いこと
と関連している。つまり、シマウマの白黒の模様は、
霊長類以外の哺乳類が遠くから見た場合には
草原の模様に埋もれ判別しにくいとされる。また、
縞模様は身体の部位ごとに向きが異なり、群れをなすと
各個体の縞模様が混ざって視覚的に同化してしまう。 しかしMelinらの研究により、天敵の大型肉食獣は
人間ほど縞の認識ができておらず、このため同じところ
に暮らす他種の植物食動物の単一の色の被毛に対して、
縞模様が特に天敵を混乱させることに優位ではない
ということが判明した。他にも説があり、日よけや
草食動物のため群れている方が被害が少なく、
仲間同士で群れを見つけるのに役立っているとも
言われている。 シマウマなど縞模様を持つ生物は、体表面で
温度差を形成して微細な空気の流れを生じさせ
体温調節に役立てているとする研究がある。
しかしNHKの『ダーウィンが来た! 〜生きもの新伝説〜』
の2017年(平成29年)10月1日放送で、独自に
この説の真偽を実際の生息環境で検証したところ、
黒縞の部分は温度が大きく上がり、白縞の部分も
黒縞よりは低いが温度が上昇し、低下を見せた
のは温度差が生む風でなく自然の風が吹いたとき
だけということが判明した。 2014年には、カリフォルニア大学デービス校の
ティム・カロ(Tim Caro)博士らの研究チームが、
シマウマの縞模様は、吸血性のハエの仲間が媒介する
伝染病から身を守るためである可能性が高いとの
研究成果を発表した。カロらの研究チームは、
ウマ科の動物から吸血し、その際に睡眠病を媒介
するツェツェバエなどの吸血性ハエの仲間とシマウマの
生息域は地理的に重複し、またシマウマの体毛は
極端に短く吸血が容易であるにもかかわらず、
ツェツェバエの体内からシマウマの血液がほとんど
検出されないこと、ツェツェバエは色彩が均一な面
を好んで着地しシマウマのような模様のある面は
避ける傾向にあることが実験により確認されたこと等
により、吸血性ハエの被害からの防御と縞模様との
関係は「きわめて高い」と結論づけた。
縞模様はアブにも効果があることが確認されている。 模様の無いウマやウシの体表に縞模様を施す
ことでも効果を発揮することが判明している。
日本の山形県では2021年に肉牛の体表を白黒の
縞模様に塗ったところ、アブをはらう動作が減ったこと
が確認された。ブリストル大学の研究チームがウマの
胴体に縞模様のコートをかけたところ、アブが着地する
回数が減ったことが確認された。この実験では
様々な柄で実験が行われたが、白黒のチェックと
正方形のランダムに並べた柄が効果的だったという。 生態
ヌー、トムソンガゼル、トピなどのレイヨウ類、キリン、
ダチョウなどと混群をなすことがある。
天敵はライオン、ブチハイエナ、リカオン、ナイルワニである。 家畜化
シマウマは加齢に伴い気性が荒くなる。
また人間になつくことはほとんど無く、騎乗や
運搬用に馴致することが困難である。 シマウマの家畜化は、特にヨーロッパ人がアフリカ
植民地化統治していた19世紀から、たびたび試みられた。
ヨーロッパ人の持ち込んだウマは、アフリカでは病気に
かかってばかりいた。特にツェツェバエに刺されて眠り病に
かかることが多く、使い物にならなかった。そのため、
眠り病にほとんどかからない現地のシマウマが注目され
たのである。 しかし、成功した例は少なかった。シマウマは気性が荒く
て警戒心が強く、人間に懐かなかった。この強い警戒心
を持つようになった理由として「アフリカでは古くから
シマウマは食料として狩りの対象であったため、
シマウマが人に対して強い警戒心を持った」あるいは
「アフリカではライオンやハイエナなどの強力な肉食獣が
多く、身を守るために攻撃的な性質を獲得した」との
説もあるが、はっきりしない。 また、シマウマの体は、ウマと比べて小柄で、さらに背の
骨格も貧弱なため、人が乗ったり、重い荷物を運ばせ
たりするのは難しい。このため、家畜化できたとしても、
ウマと比べて利点が少ない。時代が進み、ウマすらも
自動車に取って代わられる時代が訪れると、シマウマを
家畜化する試みは、一部の研究者を除いて、試され
なくなった。 シマウマ 家族 走ったり戯れたり💞 Zebra girls play and run ❤🌸
https://www.youtube.com/watch?v=0Sq1JaTsVKc シマウマのからだは、なぜしま模様なのか?
https://cocreco.kodansha.co.jp/move/news/column_list_animals_7
アフリカのサバンナにすむシマウマのしま模様。
いったいどうしてこんな模様なのか、昔から研究者は
さまざまな理由を考えてきました。
なかでも、いちばん有名なのは、草のなかでライオンなどの
天敵に見つかりにくくするカムフラージュの効果です。
もしこれが本当ならば、シマウマ以外にもしま模様の動物
がいてもおかしくないのですが、じっさいには見あたりません。
カムフラージュ効果のほかにも、仲間どうしの結びつきを
強くする働きや体温調節、病気を媒介する虫がつきにくく
するなど、様々な説が考えられてきましたが、本当のところ、
どれが正しいのかわかっていませんでした。 生息地によって、しま模様の太さや数に差が!
カリフォルニア大学の研究者チームは、シマウマのしま模様
パターンを調査。気温や降水量、病気を媒介するツェツェバエの
存在、ライオンの分布などのデータとしま模様との関連性を
コンピュータで分析し、その結果を論文として発表しました。
シマウマは、生息地によってしま模様の黒い線の太さや数に
差があり、濃かったり薄かったりします。その差がどんな事に
関係があるのか調べることによって、しま模様の秘密を解き明
かそうというのです。 しま模様効果で、表皮の温度が3℃下がる!?
その結果、一番関係していたのは気温でした。
暑いところにすむシマウマほど、しま模様の数が多くて濃い
傾向にあることがわかったのです。
では、なぜ暑いところのシマウマは、しま模様の数が多く
なるのでしょうか。
たしかな答えはまだ見つかっていませんが、しま模様は皮膚
の表面温度を低くする働きがあるという説があります。
黒い線と白い線では空気の流れにちがいが発生し、
小さな空気の渦ができてシマウマの皮膚の温度があまり高く
ならないというのです。 その証拠に、おなじ地域にすむしま模様がない動物の皮膚
の温度に比べると、3℃低いということもわかっています。
3℃ではたいしたちがいがないように思えますが、
ツェツェバエによる感染症にかかる割合を下げることが実験で
わかっているので、しま模様には病気にかかりにくくする働き
があるのではと研究者は考えています。 また、よくいわれるライオンなどの捕食者からのがれる効果は、
今回の研究では認められなかったそうです。
なぜなら、しま模様がうすいシマウマがいる地域にもライオン
がいておそわれる危険がありますが、濃い地域と比較して、
とくにねらわれやすいということはありませんでした。