長いから、読まないでください


@一色伸幸 /脚本家&小説家&モカさんの中

「この世界の片隅に」。
家で寝転がりながら観る派なので、仕事で関わった作品以外で、
映画館で2度観るのは、たぶん十数年ぶり。
日本映画の欠点(情緒過多/芝居の溜め/無駄な熱演/場面の意味の説明でしかない劇伴etc)を排した潔さに、
あらためて嬉しくなる。

「ラジオ」を企画したとき、「これは震災ドラマではなく、
普通の青春ドラマで、たまたま背景が被災地だっただけ」って何度も言ったけど、
「この世界の片隅に」も同じ背骨を感じる。
被災地じゃなくても、戦時中じゃなくても、某ちゃんやすずさんはどこにでもいる。
ドラマは出来事ではなく、人にある。

これ大事なことだから何度でも言う。
大きな事件や奇妙な出来事はあっても構わないけど、
観る人の心を動かすのは、いつでもキャラクター。

歌舞伎的な情緒情感をあそこまで排せたのは、確信犯か、
あるいは予算不足ですね(笑)

今日の終わりに。日本の映画やドラマに固有の「情緒・情感」って、
分かりやすく言うと歌舞伎の花道。
とっととハケてストーリーを展開してほしいのに、花道を悠々と歩く。
それを名演と思うか怠いと思うかは人それぞれだけど、
僕は後者だし、世界のお客の大半はそう。

ここ数年で、もっとも分析すべき映画だと思います。
この手法は、実写のスタッフたちが学ぶべきことかと。
「世界に出る」前提だと愚考します。