シネマの週末・チャートの裏側 難病ものの粘り腰
https://mainichi.jp/articles/20180119/dde/012/070/018000c

先週お伝えした「キングスマン:ゴールデン・サークル」の異例のヒットを除き、正月興行から大きな変動はない。
そのなかで、ぐんぐん数字を伸ばしているのが「8年越しの花嫁 奇跡の実話」だ。すでに興行収入23億円を超えた。
最終では30億円近くまでが見えてきた。

全く予想外だったが、難病ものは、日本の映画市場でもともと人気が高い。
2000年以降では、「世界の中心で、愛をさけぶ」(興収85億円)や「余命1ケ月の花嫁」(同32億円)が記憶に残る。
今回は口コミ効果が絶大だ。しかも、客層が若者から年配者まで、この2作と比べても幅広い。

これは、作品が涙を誘うだけの、うわべだけの作風になっていない点が大きい。
涙へのいざない以前に、2人の俳優の演技力、佐藤健の繊細さ、土屋太鳳のけなげさが、見る者の胸を締め付けてくる。
これが生きることの力強さを喚起し、本作の口コミを促進していると見る。