あれは数年前だったか、俺はウズベクへ入国した。飛行機でではなく、更なる奥地から
陸路で入ったのだ。コーラの赤が飛び出て見えた。たくさんの商品が宝石に思えた。
文明に飢えていた。俺は入国した途端に、この国境の、小汚い食堂に飛びこんだ。
そしてたらふく食った。数週間ぶりのマシな飯にかぶりついた。がっついた。
日本であれば見向きもしないクオリティの飯にも関わらず。

久しぶりの満腹感に酔いしれる間もなく、例の痛みが襲ってきた。きゅるるる。
下痢である。もう我慢は出来ない。トイレはすぐに見つかったが、荷物がある。
たまたまそこ婆が座っていたので、荷物を託す。そして大便器へ向かう。
ドアを開くと大きな便がそこに散らばっている。その横も、そのまた横の便器にも、
グロテスクな大便が何十にも重なっているではないか。余りにも汚い。吐き気すら
する。しかし俺の肛門の絞りもそろそろ限界を迎えている。この古風な便器は、
流れる水を少しづつ貯めて一気に大便を放流する方式のようだ。取っ手を引いて
流してみるも、先客の便が大きくて流れない。

俺は仕方なくそのまま便器にしゃがみこんだ。そして一気に排便した。
先客のものと重なってこんもりした便の山ができた。もう一度取っ手を引いてみた。
すると水の流れが若干変わって便器の便が俺の肛門に跳ね返ってきて、くっついた!
おえええ〜。真っ青になったが、そういう今も便が飛び散っている。すぐさま
立ち上がって紙で拭いてトイレを後にした。今でも夢にうなされる。恐怖のトイレ体験とは、
まさにこれである。