平成31年(ネ)第784号
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>亡Dが自殺の前日に別居中の被控訴人Fに対していつ戻ってくるのか尋ねたところ,被控訴人Eとの離婚を考えていると告げられている(前記認定事実
>このように,亡Dには,亡Dに安心感を与える家庭環境等が整っておらず,しかも,離婚によって母親不在という現在の状態が将来にわたって継続する可能性もあることを
>自殺の直前に知らされるなどしている。その意味で,亡Dの家庭環境等がその自殺の重要な一要因として作用したことは否定できない。

>被控訴人Fも,平成24年11月4日の警察官からの事情聴取において,亡Dが自殺した原因について,いじめだけではなく,
>家庭内の問題も決して抜きにはできないと思っている旨供述しており(乙ロ3,乙ニ7),このような供述も,上記認定を端的に裏付けるものということができる。

>被控訴人Eは,相談先から亡Dについて軽い発達障害の可能性がある旨告げられたことを受けて,9月25日,亡Dに対し,何度も同じことを繰り返すのは病気かもしれんのやでと告げ,
>これに対し,亡Dは,病気であれば病気でよい旨一方的に言い放って家を飛び出し,一晩,家に戻らないまま,近くのマンションのソファーで一夜を明かしている

>被控訴人Eの亡Dに対する体罰や病気の可能性の告知も,過失相殺を基礎付ける事情の一つとして考慮することが相当である。
>以上のとおり,亡Dには,自らの意思で自殺を選択したものである上,祖父母宅からの金銭窃取という違法行為により自らを逃げ場のない状態に追い込んだ点で,
>被控訴人らには,家庭環境を適切に整えることができず,亡Dを精神的に支えられなかった点で,特に被控訴人Eにおいては,
>体罰や病気の可能性の不用意な告知により亡Dの反発心や精神的動揺を招くなど,同居する監護親として期待される役割を適切に果たし得なかった点で,
>過失相殺の規定の適用及び類推適用を基礎付ける事情があるというべきである。