── ファンからは「河野監督」と呼ばれているんですよね?

河野 はい。うれしいです(笑)。自分がもともと好きだったものを出すことで、より河野万里奈を知っていた
だくというのは、メジャーから遠ざかっていた時期だからこそできたことで、逆に今がチャンスだなと思ってい
ました。というか、最初は野球が好きというのは私にとって当たり前すぎて、アピールポイントになるとは思っ
ていなかったんです。たとえばSMAPさんを好きなのと同じように、多くの人が鳥谷敬選手(阪神タイガース
)のことを好きだし、球場に行くことはごく普通のことだと思っていたんです。だから、野球の話ができること
を面白がっていただけたことに最初はびっくりしました。

── はははは(笑)。実は自分はすごく野球に詳しいんだということが、周囲の反応でわかっていったという
ことですね。

河野 はい、誕生日祝いに親に野球観戦につれて行ってもらうとか、みんながやっているわけじゃないんだなっ
て(笑)。

── しかも河野さんは、12球団全部が好きで詳しいんですよね。

河野 本当はひとつの球団を応援できたら幸せなんだろうなと思うんですけど、どの球団も応援したくなるんで
す。私は特に守備が好きなんですけど、守っているときの一挙一動にその選手の野球人生が滲み出ているんです
ね。たとえば鳥谷様だったら、聖望学園高校を出てなかったら今の守備はないだろうし、自分の哲学や軌跡がプ
レイに詰まっているというのは、歌にも通じるものがあると思うんです。

── 阪神タイガースの鳥谷選手が特にお好きみたいですが、関西の出身なんですか?

河野 いえ、生まれ育ちは福岡なんです。でも母の実家が甲子園の近くで、子どもの頃から毎年、実家に遊びに
行く度に甲子園に行っていましたし、大学が兵庫だったので私自身も関西で暮らした経験があって、第2の故郷
のように感じています。

── 甲子園は子どもの頃から慣れ親しんだ球場なんですね。

河野 はい。夏休みは特に甲子園に通っていたので、後にプロで活躍することになる高校野球の選手のこともた
くさん見て育ってきました。