第1話の冒頭シーンに、ヒントが隠されている。

2種類のホワイトハウスが生じさせる「2種類の現実

第1話の冒頭、咲はタクシーでホワイトハウスの前へ到着する。「なんか想像してたのと違う」と、彼女は第一
印象を口にする。そのカットの映像は、正面からとらえられたホワイトハウスと噴水だ。噴水の音はしているが
、しかし、映像の中の噴水は止まっている。なぜなら、その映像は、ガイドブックの表紙写真だからだ。
ガイドブックが画面からフレームアウトすると、咲が目にしている「本物の」ホワイトハウスと噴水が現われる
。ホワイトハウスは芝生のずっと向こうに建っており、噴水はさらに小さい。「噴水も思ってたより、ぜんぜん
遠いし……」と、咲はあらためてガイドブックの表紙を見る。
つまり、このシーンでは「誇張されて撮影されたガイドブックの表紙」、「柵の外側から咲が眺めた建物」、2
種類のホワイトハウスが描かれている。しかも、そのどちらもが「絵」である。アニメの中で「絵」として描か
れた現実にも、メディアの演出を介した現実と、登場人物が肉眼で見た現実の2種類がありますよ……と、物語
の開幕早々に宣言しているわけだ。

アニメーションという絵の中に、さらに写真・映像として加工された絵を配置する入れ子構造によって、「2種
類の現実がある」と、視聴者は刷り込まれる。しかも、「メディアを介した現実と肉眼で見た現実は違うので、
私はだまされない」と、タカをくくってしまう。

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