と長々と『PART IV』の説明をしてきたが、というのも『PART5』は直前の『PART IV』を踏
まえたシリーズであると考えたほうが、『PART5』の立ち位置が明確になるからだ。

『PART5』で行われたことは3つ。
ひとつは、ネットが当たり前になった時代のルパンの行動ルーティンを確立したこと。具体的にいうと、モノク
ル型のウェラブルデバイスを身につけて、カジュアルなレベルのハッキングなら難なくこなせるようになった。

ルパンというキャラクターとコンピューターやネットワークという要素をどう組み合わせるかは、TVスペシャ
ル『バイバイ・リバティー危機一発!』などでも試みられていた要素ではある。だが、キーボードをパチパチや
る姿はありきたりだし、ルパンというキャラクターをかっこよく見せるほうにも寄与はしない。

『PART5』では、天才的ハッカー・アミという準レギュラーの存在を補助線にしつつ、ルパン一世も着用し
ていたモノクルに機能をもたせることで、ルパンというキャラクターの一部に自然にハッキング能力を織り込ん
でいた。今後、このモノクルさえしていれば、たいがいのところに侵入できる説明がつく。

もうひとつはシリーズの全肯定。
『PART5』のシリーズ構成は独特で、数話にまたがる中編エピソード4つと、各話完結の単発エピソードを
組み合わせたものになっていた。
この単発エピソードは、アニメを中心に活動する脚本家ではなく、他ジャンルの作家陣が脚本を担当する場合が
ほとんどだった。中編エピソードが、シリーズの求心力を高める内容であるのに対し、単発エピソードは『ルパ
ン三世』という世界を多彩な切り口で見せていく役割を担っていた。

その点で単発エピソードのトップバッターが、そのナンセンスさと昭和ノリで多くの人の度肝を抜いた「ルパン
対天才金庫」(脚本は副監督の酒向大輔)が“幅”を示した意味は大きかった。そしてポイントは、この時のル
パンのジャケットが『PART III』のピンク色だったということである。
今回の単発エピソードは、エピソードの雰囲気や時期に合わせて、ルパンは(青を含めた)過去のシリーズのジ
ャケットを着用するのである。

https://animeanime.jp/article/2018/10/12/40741.html