http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20160206000034
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 京都府亀岡市に生息する国の天然記念物アユモドキの保全策を検討している京都府と市の専門家会議はこのほど、市が2年前から取り組む繁殖実験の評価を行った。
人工池で産卵と稚魚の生息が確認された点は一定評価したが、産卵規模や稚魚数が少ないことから「個体群の安定には十分な効果は得られていない」と指摘。
引き続き、最適な繁殖条件を探る必要性を強調した。

 実験は、アユモドキの繁殖環境の再現が目的。生息河川と水路でつないだ「自然繁殖実験場」や、親魚を放す「放流魚繁殖実験場」など、異なる環境条件の池三つを造り、産卵の有無や稚魚の成育状況を調べた。

 2014年度はすべての池で産卵と稚魚計約150匹が確認された。本年度の産卵は二つの池のみで見られたが、秋までに三つの池で稚魚計約200匹が確認できた。
別の場所でふ化した稚魚が池に入り込んだとみられるという。

 専門家会議は、ナマズや鳥など人工池のアユモドキを食べる生き物への対策や、親魚が池に入りやすくなるような工夫を課題に挙げた。
今後、アユモドキと他の淡水魚との望ましいバランスを考え、繁殖の実現に向けて環境を整備する必要がある、とした。

 また、繁殖環境を造るには時間がかかり、3〜5年程度は慎重に実験経過を見ることが重要とも指摘している。

 実験は16年度も続けられる。市は府の球技専用スタジアムを含む市都市公園の一角にアユモドキの保護区域「共生ゾーン」(3・6ヘクタール)を整備する計画。
市環境政策課は「必要な情報を蓄積し、アユモドキが安定して繁殖できる共生ゾーン整備につなげたい」としている。