■日本を操る「隠された支配構造」■<著者>丸谷元人 国際派ジャーナリスト・危機管理コンサルタント

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☆尖閣危機でアメリカは出動するのか?手玉に取られ続ける日本の高官たち☆

では尖閣危機でアメリカはやってくるのでしょうか。
間違いなくやってくるだろうと思う方おられますか。
多分やってこないのではないかと思われる方。

はい、その通りだと思います。本当にその通りだと思います。
ただ皆さんの意見はわが日本国では、非常に少数派だと思います。
ここでは今99%皆さま手を上げられましたが、これは本当に知的レベルが非常に高い一部の人しかそう思ってないのです。

これは私もあえて「知的レベル」という言い方をしますが、なぜかと言いますと今回、稲田さんがアメリカに行ってマ
ティスさんと話をして、トランプ政権も尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用範囲内であると言っていると喜んで帰ってきました。

これは初めてだと思いますか。
アメリカが尖閣に第5条の適用やるよと言ったのは初めてではないです。
2004年も言っていますし、オバマ政権のときもオバマが言っているのです。適応範囲だよと言っているのです。
そうすると日本の外務省は万歳と言って帰ってくるわけなのですね。

乾杯とやるわけですよ。ずっとずっとアメリカは言い続けています。
でもオバマ政権は同時にわれわれは領土問題にはタッチしないと言っていますし、
アーミテージレポートも、アーミテージさんは共和党のはずです。
でもアメリカは、領土紛争はいかなる立場も取らないとレポートの中で言っているわけなのですね。

2015年中国による新たな東シナ海ガス田開発がこれだけ進んでいるぞという証拠写真を日本の政府が公表しました。こ
のときもワシントンは特定の立場を取らないと言ったのです。
今回新しい政権になって日本の防衛大臣が行って話をして、それでやっぱり5条を適応してくれるのだそうですよ。

これは万歳なのでしょうか。日本にとっては重要なのですけれど、アメリカにとっては誰も住んでいない岩です。
アメリカ人どころか人っ子一人住んでいない島のために何でアメリカが死ななければいけないのだ、思うのが普通ですよね。
例えば日本がベトナムと仲良くなりました。

中国の脅威にベトナム、フィリピン、日本が共同で対処しましょうといって、それで官民あげて仲良くなったとします。
ベトナムがある海南島の南辺りにある島、誰も住んでいない島ですが、その領有権をめぐって中国が来ているんだと、日本が来てくれとなりました。

日本の世論も「よし、行こうではないか」というのもあるけれども、よくよく見てみたらベトナムは平和憲法を持っていて、
自分で守る気はありません、守れません、もう全部日本が来てやってくださいという感じです。

しかもベトナム人に世論調査をしたら8割が、「日本が必ず助けてくれる」と思っている、でも俺たちは戦争になったら逃げる、
という国民だったとしたらわれわれは行きますかね。