「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した夜桜が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
どういうことか分からずに呆然とする夜桜の背中に聞き覚えのある声が聞こえてきた
「たまちゃん、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った夜桜は目を疑った
「ア・・・アカリさん?」  「なんだ夜桜、居眠りでもしてたのか?」
「キ・・・キズナアイ1号?」  「なんだ夜桜、かってに親分を分裂させやがって」
「月さん・・・」  夜桜は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:輝夜月 2番:ねこます 3番:キズナアイ 4番:シロ 5番:のらきゃっと 6番:夜桜 7番:猫宮 8番:夢咲楓 9番 キズナアイ
暫時、唖然としていた夜桜だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
小峠からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する内川、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・