信州大(本部・松本市)が、新たながん免疫細胞療法「CAR(カー)―T細胞療法」の安全性試験を担う「遺伝子・細胞治療研究開発センター」(仮称)を、医薬品の安全性試験などを手掛ける「イナリサーチ」(伊那市)に設けることが20日、分かった。
2019年度から本格試験を実施する計画。世界的に開発競争が進む遺伝子・細胞治療分野の基盤整備に向けた国の委託事業に採択された。同療法の実用化を目指す国内拠点施設として期待される。

 CAR―T細胞療法は、がん患者の体内から免疫細胞の一種「T細胞」を取り出し、がん細胞のみを攻撃するよう遺伝子を改変した上で体内に戻して治療する。
米国では一部の白血病患者に対して既に実用化。国内でも信大をはじめ各地の大学や製薬会社が開発に乗り出している。

 ただ、同療法は重い副作用の報告もあり、実用化にはヒトに近い大型動物で安全性を確認する重要性が高まっている。
今回の事業の委託元である国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」(AMED)は「安全性を評価するプラットフォーム(基盤)」としての役割を期待する。