子供の頃、「人間はある日、なぜか永久に喋れなくなることがある」と信じていた。
ある日、こんな夢をみた。
幼児の僕は、なぜか喋れなくなってしまった。
どんなに声を出そうとしても、声がでない。
どうしよう。一生このままなんだろうか。
幼稚園の友達や先生は、僕が無口のせいか喋れなくなったことに気づいてない。
どうしようか。
最初に、誰にこのことを伝えようか。
・・まず母に伝えよう。
そして、気づいたら朝になっていた。
僕は、階段をおり、母の待つ食卓に向かった。
そして、目の前にはいつもと同じように朝食があった。
母は、黙って僕を見ていた。
僕は母をみて、意を決して伝えた。
「お母さん、僕、喋れなくなっちゃったんだ。」
僕が言うと、母は黙ったまま僕の方を見た。
その直後、目が覚めた。