タッチ検出も高速化
 また、タッチ操作の検出もスピードアップ。平均的には2ミリ秒(2msec)にまで短くなったのだという。
 小林氏は「一般的には、遅延(レイテンシー)と言えばメモリーやCPUといったコンピューティング資源を思い起こされるだろう。だが、スマートフォンではディスプレイやタッチパネルなど、周期的に動作するデバイスが遅延の主因」と語る。
 たとえばタッチ検出が60Hz駆動であれば16ミリ秒、遅延する。そこへ画面の更新処理に20ミリ秒かかる。描画と操作を担当するディスプレイ周辺だけでも、一般的なスマートフォンでは「遅延がかなり大きい」(小林氏)のが現状だ。
 一方、AQUOS zero2の240Hz駆動ディスプレイは、タッチ検出のスキャンも240Hzになっており、一般的なスマートフォンと比べて4倍のスピードでタッチ操作に反応できる。小林氏は「AQUOS zero2ではタッチと画面の遅延を
80%短縮することに成功した。(描画とタッチ検出の)それぞれを4倍速にして、ギリギリの性能になることで、『勝ちにいけるスマートフォン』を目指した」と胸を張る。こうした調整は、バンダイナムコやCygamesと協力して進めてきたのだという。
2つめの特徴は「超軽量設計」
 先代モデルから3g、軽くなり、143gを実現した「AQUOS zero2」。小林氏は「長い時間、手にスマートフォンを持っていても疲れにくい」とアピールする。
 軽量化の背景には、基板の25%小型化や、マグネシウムフレームの進化がある。内部パーツを小さくしつつ、ボディを支える構造の強度を増したことで、スペックアップを受け止めつつも軽量化を果たした。
 では、どれほどのスペックアップを実現したのか。
パフォーマンス
 たとえばカメラはデュアル構成となり、動画と静止画を同時に撮影し、AIがハイライトシーンを自動的に作る「AIライブシャッター」もサポート。さらに光学ズーム撮影にも対応した。
 チップセットは、現在のスマートフォンでは最高のスペックとなるクアルコム製の「Snapdragon 855」を採用。その一方で、スマートフォンにはついてまわる発熱に対しても、迅速に本体全体で発散する仕組みを取り入れた。
排熱処理の工夫
 スマートフォンではディスプレイやCPUといった部材からの発熱と、充電中の発熱がある。AQUOS zero2では構造上の工夫により、一カ所に集中して熱が出るのではなく内部からの熱をボディ全面に広げて放熱するようにした。
また小型化した基板のほとんどはディスプレイ上部方面に集中するよう配置されており、ユーザーの手で、熱を感じにくい形で発散される。さらに先代モデルに続いて「パラレル充電」もサポート。これは、充電を2系統に分割することで実現したもの。
小林氏は「電流が半分になると発熱は1/4になる」と解説し、充電しながらゲームを遊ぶユーザーにとっても、充電中の発熱を抑える「AQUOS zero2」にはメリットがあると語る。
ハイエンドチップ
 チップセットはハイエンドのSnapdragon 855を採用。さらにメモリー(RAM)は8GB、ストレージ(ROM)は256GBとなり、UFS 3.0をサポート。AQUOSシリーズのスマートフォンとして初めてデュアルバンドGPSをサポートしており、L1バンドとL5バンドを使い、
一方で高い精度、もう一方でスピーディに現在地を測定する。 このほか、Android 10を搭載して出荷される予定も明らかにされた。ダークモード、進化したセキュリティなどAndroidの最新のスペックをサポートする。
販路は?
 先代の「AQUOS zero」は、まずソフトバンクで登場し、その後、SIMロックフリー版が登場した。はたして今回はどうなるのか。
 小林氏は「○○をしたいから、この機種にする、というようにハイエンドは尖った部分を備える形になっていくと思っている。具体的な販路については今回は申し上げられない。ただ、AQUOS sense 3シリーズとともに、
できるだけ多くの方に届けたいと思っている。乞うご期待です」とコメント。キャリア版、SIMフリー版それぞれの登場に期待感を持たせた。