あるところにヨシキくんという"男の子"がいました
ヨシキくんはコンビニまでお買いものに行きましたが
とちゅうでたくさんの雨がふってきてしまいました
「あめが、あめがふってきたんよ…」
このままではずぶぬれになってしまう…ヨシキくんはあわてて走りだしました
ヨシキくんがいっしょうけんめい走っていたその時です
「あっ」
バシャン
小石につまづいてしまい、ヨシキくんは転んでしまいました
お気に入りのぼうしも水たまりの中へ落ちてしまいました
「ぼうし、ぼうし」
ヨシキくんはぼうしをひろおうとしましたが
ふと、水たまりに目がいきました
そこには ハゲ た 小汚い男 のすがたが写っていました
「…!」
ヨシキくんは気づいてしまいました
水たまりに写っているのはじぶんだということに
ヨシキくんはげんじつを見るということができませんでした
ヨシキくんはげんじつからにげるために"男の子"になりました
でも、それはちがうすがただと、気づいてしまいました
気づいてしまいました
「ぼくは…」
ヨシキくんの声は、雨の音にまぎれ
消えていきました