◆被告側法廷発言・4つの大失点
それは、李信恵、伊藤大介に対しても同様だ。この日被告側の大きな失点は、素人目に4つある。
1つ目は前述姜永守弁護士の失当質問。
2つ目は李信恵が「自分は乱暴な言葉を日ごろから使う『殺されるんやったら中におれば』もいつも通りの言葉遣い」と発言したこと。
3つ目は同様に李信恵が事件時に着ていた「チョゴリ」を「着ていませんでした」と明言したこと、
そして被告側最大にして取り返しのつかない発言は、伊藤大介が、殴られたM君の姿を見ても「エル金とは友達なんだから話し合った方がいい」と繰り返し述べてしまったことである。
伊藤の発言は取材班も予想外であった。伊藤は自身が「共謀」などなかったと何度も繰り返し主張しているが、
この発言は伊藤が「暴行事実を確認しながら、それを放置(場合によってはさらなる暴力の誘因をはかった)と言っているに他ならないからだ。
伊藤は事実がそうでなくとも「共謀」を否定するのであれば、絶対にこのような発言をしてはならなかった。素人にもそう感じられたが、
合議体である裁判官が3人とも「暴行を受けている事実を確認して、また店外に出したらさらに暴力を振るわれると考えなかったか」といった趣旨の質問を繰り返した。
その質問のたびに伊藤は前述通り「もともと友達だからちゃんと話し合って解決すべきだ」と思ったと語った。暴力続行の危険性を全く配慮していなかった=結果として黙認したことを何度も裁判官の質問に向かい確認したのだ。