親に親しむは仁なり、長を敬するは義なり、他は無し、之を天下に逹するなり
(親に親しむのは仁の精神である(他者への愛)。
 兄を敬うのは義の精神である(他者との秩序感覚)。
 なんということはない。小さい頃にあった心を広げて天下に及ぼせばよいのだ)


富を欲するか。恥を忍べ、傾絶せよ。故旧を絶ちて、義と背け
(恥に耐え、命の限りに全力を尽くせ。旧友との交際を絶ち、義理に背け。もし富を得たいのならば)


人の患いは好んで人の師となるにあり
(人の患いは、偉くもないのに自分から好んで人の師となろうとしたがることである)


居は気を移す
(人は地位で気性が変わる)


人必ず自ら侮りて然る後に人これを侮る
(自分で自分を尊重せず、軽々しい言動をしたり、
 修養を怠ったりしていると、必ず人からも侮られるようになる)


自ら反みて縮くんば、千万人と雖も吾往かん
(自ら省みて良心に恥じなければ、(敵が)千万人いようとも恐れることなく向かっていく)


天の時は地の利に如かず。地の利は人の和に如かず
(天の与える好機は地理的な有利さに及ばず、地理的有利さも人心の一致には及ばない)


天の将に大任を是の人に降さんとするや、必ず先づ其の心志を苦しめ、其の筋骨を労し、その体膚を餓やし、其の身を空乏し、行ひ其の為すところに払乱せしむ。心を動かし、性を忍び、その能はざる所を曾益せしむる所以なり
(天が人に大任を授けようとするときは、必ずまずその人の身心を苦しめ、窮乏の境遇におき、何を行ってもすべて失敗をさせて、わざわざその人を鍛えるものなのである。つまり、不運は天の試練として受け止めるべきものなのである)

孟子