カーブを描く昔の道で、両側にお茶の垣がある道なんかは、
真横から見たら奥まで見えないんだけど、手前から見た瞬間、奥だけ見える。
動いているので、奥がチラッと見えた瞬間にもう通り過ぎている。
それが脳の中で1本の道として出来上がるんですね、映像として。


原発を再開したい連中は、なんかかんか言いながら再開したがるだろう。
所詮、何も見えていないから。大体、使用済み核燃料が原料だったら
採算上は資産になるけど、あれはものすごい負債ですからね。
負債として認めた途端に全部崩れるわけでしょう?
もう大負債なわけですよ、永代の。


『風立ちぬ』で、僕は僕の堀越二郎を取り戻したと思ってるんです。


毎朝決まった道のゴミ拾いをして、コーヒーを飲みに行く。
それから戻って朝めしを食って同じ道を通ってスタジオに行く。
毎朝ゴミ拾いしてる時に出会うのって同じ人たちですよ。
ほんとは「あなたは何のご職業ですか?」って訊きたくてうずうずしてるんだけど。
「年収はいかほどですか?」とかね。


今、自分は半径20メートルで生きています。映画もテレビも観ない。
盛り場へも行かない。インターネットもケータイも持たない。
自分の観たものだけで世界の気配を感じようとしています。


3・11以降、ペラペラペラペラものを書く人が増えてね、頭くるんですよ。
「黙ってろこいつら!」って。そう思わない?おたおたしてるんですよね。
もっともらしくしゃべってるけど。何をこんなに騒いでんだ、と。


50年もやってきましたからね、アニメーションを。
その時に、身過ぎ世過ぎでアニメーションをやらない、っていうことでやっていくと、
そういう意味では、堀越二郎がどういうふうに生きたかっていうのはね、
どういう姿勢で自分の仕事に取り組むかってことにあてはめて、理解できますよ。


零戦神話はほとんどが嘘の塊です。

宮崎駿