日本の鉛筆、もの凄くいいんですよ。
もうドイツの文房具なんか遥かに超えてますよ。
でも高いですから、鉛筆は。
「シャープペンシルのほうが地球にやさしい」なんて言いかねないんだけど。
だから鉛筆という材料をなくして未来があるのかっていう話です。


ほんとにみんながわかんなくなったとき、
素っ頓狂なものをやるしかないんですよ。
そういう役割でここに置かれてるんで。だから、わたしはつらいんですよ。


最新流行のものはほとんど見てない。
「好きなことをやってるだけで十分だ」って言って、昔ながらに生きているんですよ。


企画の発端ていうのは思いつきでも何でもいいんですよ。
ただそれに肉付けしていく過程でキチンとやらなくちゃいけないんです。


人もミミズもみな同じというところに、もう一回戻ったほうがいいよ。


人間が貴いと思う、“無私”とか“純粋”というこころの働きは、
そこらにある石ころにもあるものです。
最も人間的なのは“権謀”や“術策”とかで、これは自然にないものです。


意気地なしですよね。みんな善良で、やさしい連中なんだけど、
なんだろう、どうしてこんなに意気地なしなんだろうと。
そういうオス蜂をいっぱい育てた巣箱だったんですね、この日本の社会は。


人間だけが生きるのではなくて、
獣にも木々にも水にも生きる場所を与えるべきなのです。
そういう思想が、かつての日本にはありました。


天災で、どんなに悲痛な思いをしても、
この国の人々はそれでも生き続けようとする力を持っている。

宮崎駿