僕は何かつくりたくなるとか、自己顕示欲とか、見栄とか、
そういう業をいっぱい持っていますから、
自分がこのままとりすまして、いいご隠居になるとは全然思っていないんです。
だけど、なんかやるためには一回自由になりたいですね。


子供っていうのは、可能性の生き物なんですよ。
たくさんの選択肢を、毎日持ってるんです。
大人も実はそうなんですけどね。


自分がそれを好きか嫌いかってこと以外に、
自分がそれをできるか、できないかってことを見極める必要がある。


堀越二郎のご子息とその奥さんが、スタジオを見たいって、
訪ねてきてくれたんですよね。おふたりには感心しましたね。
こんなご夫婦がいらっしゃるんだ、と思って。
会った人みんなファンになっちゃったんですよね。


『風立ちぬ』で色指定をやってくれた保田道世さんはですね、
もうリタイアした人なんですよ。「ちょっと出てきてくれ」「もうあたしはダメよ」
って言ってたんですけど、「骨は拾うから」とかね。
「社葬にするから」とか。これはプロデューサーが言ったんですけど(笑)。


この前、弁当がない日があって。外食しに駅の反対側へ何年ぶりかで行ってみたら、
人の通り方はそっちのほうが少ないから、貧相なんですよ。
だけど同じ色なんですね。自分の町がしょぼくなってんのかと思ったら、
「ああ、日本、同時多発にしょぼくなんてんのかな」と思ったんだけど。


通じない人は何も通じない。もうほんとに無教養ですからね!
歴史的感覚なし!何も知らない!「ダメだこいつら」って。
いや、自分のスタッフのことを言ってるんですよ?
ほんとに無知蒙昧。覚悟も教養もない!なんでしょうねえ、この教養のなさは。


今はっきりしてることは、どういうことになるかっていったら、
東京の半分は外国人になりますよ。ロンドンとかパリがそうなったように。
それで、アジアのEUを作るしかないんです、もう。
そういう方法しかないんですよ、いいとか悪いとかじゃなくて。と、僕は思います。

宮崎駿