動物に同情することは、その人の性格の良さと完全に一致している。
動物に残忍な人はけっして良い人ではない。


誇りの中でも最も安っぽいのは民族的な誇りである。
民族的な誇りのこびりついた人間には、誇るに足る個人の特性が不足している。
個人の特性が不足していなければ、
何もわざわざ自分を含めた幾百万の人間が共通に具えている要素に訴えるはずがない。


世間でいわれている幸福は、これに先だって、苦しみや欠乏があり、
また幸福を得た後も、後悔、苦悩、虚しさ、飽満の感覚につきまとわれるもの。


人が、努力を惜しまず、幾多の困難や危険に遭遇しながら、
手に入れようとしているものは、他人からの評価を上げることを目的としている。
地位、称号、勲章はもちろん、富、学問や芸術までもが、
人からの尊敬を得るためのものである。
愚かで、何とも嘆かわしい。


誰も人様をほめるのは、自分にもそれができる見込みがあると思う範囲に限られる。


天才とは客観性を備え、精神に客観的方法をとらせることのできる人物にほかならない。
天才は主観的な自分自身に拘束されることがないので、
意志のままに動かされる凡人とは全く逆の方向をたどる。


だれも、生まれる前の私について何も知らないのだから、
死んだあとの私についても、何も知らなくていい(死の直前の言葉)


女性の狡猾さは、本能的といってもよく、
その嘘つきの傾向を全然なくしてしまうことは出来ない。

ショーペンハウエル