男たちが、長い間の勤労と大いなる辛苦をかさねて、やっと築き上げた財産も、
女どもの手に渡ると、その無知のために、またたく間に蕩尽される。


自己に満足し、自己がすべてであると言うことができれば、
それこそ幸福にとって最も好ましい性質。
幸福は自己を愛する人のものである。


俗物には俗物なりの虚栄心がある。
金や位階、権威や威力などで他人を凌ぎ、それによって他人に尊敬されたいという虚栄もあれば、
同じ俗物の中でも傑出した奴と付き合って、虎の威を借る狐のような気分に浸る虚栄もある。


孤独にされると、愚者はたとえ美服をまとっていても、
自分の貧しい個性の重圧から脱却できず、ただ溜息をつくばかり。
すぐれた素質をもつ者は、孤独な貧しい環境にあっても、
自分の思想を生かして充実した生活をおくることができる。


どのような不幸に際しても、何よりも強い慰めとは、
自分より、もっと不幸な他の人たちを見ることによって得られる。


女性は精神的近視である。


災いを避けることなく、勇敢に災いに立ち向かえ。


賢明な人は、苦痛や不快感から解放されようと努力し、
できるだけ困難に遭遇せずにすむ、静かでゆったりした、つつましい暮らしを求める。


低級な頭脳の持ち主は、退屈を大いに持て余す。


大いなる知性の持ち主は、この世界に生きていても、
本当の意味で、そこに属しているわけではない。
幼い頃から、ほかの人たちと自分がかなり異なっていると感じている。

ショーペンハウエル