推理する能力を持っている人はたくさんいるが、
判断する能力を持っている人は少ししかいない。


もっとも美しい思想でも、書きとどめておかなければ
完全に忘れさられて再現不可能になるおそれがあり、
最愛の恋人も結婚によってつなぎとめなければ、
我々を避けてゆくえも知らず遠ざかる危険がある。


凡人はただ時を過ごすことだけを考え、才能を持った者は、時を活用することを考える。


わたしたちがごく幼い時分、わたしたちを育て、
ものを教えこむのに、女が全く適役であるのは、
女というものが、みずからも、子供っぽく愚かしくて、
そのうえ、身近の物ごとだけを見ている、
いわば、一生、大きな子供であるからである。


最大の愚挙は肉欲の充足や一時的な快楽、金儲け、昇進、勉学、名声のために、
おのれの健康を犠牲にすること。健康第一、他のことはむしろないがしろにすべきである。


生存中に同時代の人々の感謝を受けたいと思う人は、
その時代と同じ歩調であゆまなければならない。
ところがそうすれば決して偉大な仕事はできない。
だから何か大事業を志す人は、目を後世に向け、後世のために自分の作品を仕上げなければならない。


人に対しては、寛大すぎても優しすぎてもいけない。
交際上の優位を持つには、他人を何ら必要としないこと、
そしてそういう素振りを見せること。


優秀な人間は誰しもある種の人間嫌いの感覚から自由になれないだろう。


天才は過度の神経力、精神的感受性によって生まれる。


愚か者は100人束になっても、1人の賢者に及ばない。

ショーペンハウエル