人間の嫉妬は、彼らがみずからいかに不幸に感じているかを告げるもので、
彼らが他人の行為に絶えず注目しているのは、
彼らみずからが退屈していることを示すものだ。


未だかつて、自分は本当に幸福だと感じた人間は一人もいなかった。
もしそんなのがいたら、多分酔っぱらってでもいたのだろう。


悲しみのほぼすべては他人との関係から生まれる。


卑しい人たちは、偉人の欠点や愚行に非常な喜びを感じる。


熟慮を重ねることによってのみ、読まれたものは、真に読者のものになる。
食べ物は食べることによってではなく、消化によって我々を養うのである。


幸せを数えたら、あなたはすぐ幸せになれる。


読書で生涯を過ごし、さまざまな本から知恵をくみとった人は、
旅行案内書をいく冊も読んで、ある土地に精通した人のようなものである。


人はなんでも忘れることができるが、
自分自身だけは、自分の本質だけは忘れることはできない。


知は力なり――とんでもない。
きわめて多くの知識を身につけていても、少しも力を持っていない人もあるし、
逆になけなしの知識しかなくても最高の威力をふるう人もある。


虚栄心は人を饒舌にし、自尊心は沈黙にする。


人々は閑暇を犠牲にして富裕を得る。
だが、富裕は自由な閑暇があってこそはじめて望ましいものとなる。
富裕のために自由な閑暇を犠牲にしなければならないならば、私にとって富裕が何になるだろうか。

ショーペンハウエル