「驚いたね」

菅沼は偶然発見したセガビルの地下室に忍び込みそう呟いた。
薄暗い地下室には何十ものバイオプラントが所狭しと立ち並び、その中で大中小様々な木村達が眠っていた。

「ヌマ」

不意に自分を呼ぶ声。振り返ると、いつからそこにいたのだろうか、バイオプラントの灯りに照らされねっとりと微笑む酒井が佇んでいた。

「木村がさ〜、子供出来てから俺に冷たいんだよねぇ」

「は、はい…」

「だから作ってるんだ。俺専用の木村達を」

人間を複製するという神をも恐れぬ不遜。酒井王国の王の暴走に、菅沼は言葉を発する余裕もなく、ただ立ち竦むのみであった。

「なんでこんな話してるかって言うと〜、めいど?の土産ってやつ。いくらヌマでも、この部屋を見ちゃったら生きて返すわけにはいかないんだ」

そう言うと酒井はゆっくりとズボンを脱ぎ始めた。

菅沼の行方は、誰も知らない。