平成最後の“肛門”

「やめろ木村!」

いつも通りの誘い受け、いつも通りの肛門。
しかし…。

ズ ンッ!

「んっ!?」

その日、平成の侍が肛門に挿入したのは自身の「刀」ではなく、先祖代々木村家に伝わる伝家の宝刀であった。

「木村、どうして…。」

全身を駆け巡る焼けるような痛みと、こみ上げる吐き気を堪えながらも酒井は喘いだ。

「もう、“平成”は終わる。平成の侍もスレオン勢も、旧世代の人間は去るべき時がきたんだ。」

木村は既に半分ほど挿入された刀の柄を握り締めると、その全てを酒井の肛門にねじり込んだ。

ズ ンッ!!!!!!!

「アイイイイイイイイ!」

上下の口から大量の血しぶきを噴き出した酒井はその場に倒れ込み、それきり動かなくなった。

「心配するな、直ぐにみんなそっちに行く…。俺もな…。」

暫し酒井だったものを見つめていた木村が肛門に手を入れ、刀を取り出そうとした。

その時である。

「それも悪くないんだよねぇ〜、でもさぁ〜。」

絶命したはずの酒井が顔をもたげ、こちらを見ているではないか。

「やっぱり…、木村と二人きりがいいんだよねぇ〜。」

「生きてんじゃねーよ!不愉快だわ!」

「我最終人物酒井智史」

酒井が不思議な呪文を唱えると、その肛門が風呂敷の様に広がり、木村を、そして酒井自身をすっぽりと飲み込んでしまった。




翌日、木村乱心の噂を聞きつけたスレオン勢が酒井ビルを訪れたが、つんと鼻を突くようなお尻の残り香がするばかりで、酒井の姿も、木村の姿も見当たらなかったという。

天皇の交代と共に両氏の捜索も打ち切られ、オンラインゲームの一つの時代が終わりを告げた。