・ランニングや自転車、飛沫は遠くへ 最低10メートル開けて──仏スポーツ省が要請

<ロックダウン解除後、ランニングはどうするのがいいのか。スリップストリームと呼ばれる空気の流れや、人の動きによって、飛沫がいかに飛ぶのか研究が発表されている......>
ロックダウン中のランニングは自宅から1キロ以内、自転車は禁止

フランスでは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、3月17日から外出禁止令が出され、いわゆる「ロックダウン」状態となっているが、5月11日から段階的に解除される見通しだ。そこでスポーツ省はこのほど、禁止令解除後にランニングやサイクリングを行う際には、対人距離を10メートル以上開けるよう国民に求めた。

現在のところフランスで外出できるのは、生活必需品の買い出し、医療目的、家族の世話をする場合、通勤時(必要不可欠な職種やリモートでできない仕事などに限る)、ペットの散歩、短時間の運動に限られ、いずれも証明書を所持する必要がある。

ウェブメディア「ザ・ローカル」フランス版によると、仏政府が発表した「短時間の運動」が何を指すかは当初、明確ではなかった。そのためエドゥアール・フィリップ首相は3月24日、改めて詳細な定義を発表。ジョギングの場合は、単独または同じ世帯に住む人と、1日1回、自宅から1キロ以内で1時間のみとした。グループ・スポーツは禁止で、単独でできる自転車も、通勤に使用する以外は禁止だ。
出口戦略、「ウイルスと共に生きていく」

当初2週間だった外出規制は4月15日まで延長され、さらに5月11日まで延長されている。しかしフィリップ首相は4月28日、ロックダウン解除後の出口戦略を発表し、5月11日以降、段階的に規制を解除していく方針を明らかにした(ユーロニュース)。
https://www.euronews.com/2020/04/28/coronavirus-what-are-the-key-points-of-france-s-lockdown-exit-plan

同首相は、ロックダウンを行ったことでひと月あたり6万2000人の命が救われたと説明。しかし「私たちは、ウイルスと共に生きていくことを学ばなければならない」と話し、第2波のリスクも高いため、解除後も対人距離の維持は必要だと強調した。

ロックダウンが解除されれば、それまで規制されていたサイクリングも再開が可能になる。しかしAFP通信によると、スポーツ省は4月30日、ロックダウン解除後にランニングおよびサイクリングを行う際には、他の人との距離は最低でも10メートル開けてほしいと呼びかけた。

ヨガやテニス、その他のアクティビティについては、人との間は4平方メートル以上開けるよう求めているという。ただし、10人を超える人数で集まることや、サッカーなどのスポーツは5月11日以降も引き続き禁止となる予定だ。

ランニングや自転車、飛沫は遠くへ

4月上旬、ある研究者がツイッターなどで発表した論文が、ランニングやサイクリングの愛好家の間で話題になり、さまざまなメディアでも取り上げられた。

「Social Distancing v2.0: During Walking, Running and Cycling」(「ウォーキング、ランニング、サイクリング中の対人距離について」第2版)という未査読の論文で、ベルギーとオランダの研究者らによるものだ。
http://www.urbanphysics.net/Social%20Distancing%20v20_White_Paper.pdf
https://media.giphy.com/media/QAxU2fMfr3lsiPr9Mg/giphy.gif

論文によると、ランニングやサイクリングなど人が高速で動く場合、スリップストリームと呼ばれる空気の流れや、人の動きによって、止まっている人と比べて飛沫がより遠くへ飛ぶようになる。そのため、新型コロナウイルスで一般的に必要とされている対人距離の1.5メートルでは適切ではなく、縦に並んでランニングやサイクリングをする場合、10メートル以上開けることが必要だとしている。

スポーツ省の判断は、こうした研究をもとにした可能性が高い。とはいえAFPは、パリなど人口密度の高い都市で、公道を走るランナーがどうやって他の人と10メートル以上開けられるのかは不明だと指摘している。また、これを守らなかった場合に、どういった罰則が科されるのかは明らかにされていない。

※全文は リンク先へ

(画像)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2020/05/matumatu0507a-thumb-720xauto-196278.jpeg

2020年5月7日(木)16時00分 Newsweek Jpn
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/10-92.php