2018年9月3日 5:25 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34897120T00C18A9000000

【カイロ=飛田雅則】米国のトランプ政権はパレスチナ自治政府のアッバス議長に対して、ヨルダンとの連邦国家をつくるように提案したもようだ。イスラエルの有力紙ハーレツなどが2日に報じた。アッバス氏は「イスラエルも連邦国家に参加するならば賛成する」と米国側に回答。イスラエルが参加する可能性は低いため、提案を事実上拒否したもよう。

アッバス氏は2日、入植活動の監視などをするイスラエルの左派系団体など面談した際、米国の提案について明らかにした。同氏は時期は明らかにしなかったが、トランプ米大統領の娘婿クシュナー上級顧問らと会談した際、ヨルダンと連邦国家の提案を受けたという。

現在はパレスチナ自治政府が支配するヨルダン川西岸の統治権を、ヨルダンは1988年に放棄した。ヨルダンにはパレスチナ難民が多く住むなど結びつきは強い。米国の提案した連邦国家の具体的な中身について、アッバス氏は明言しなかった。

8月31日に米国務省は国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出を全面的に停止すると発表した。トランプ政権が仲介するイスラエルとの和平交渉に応じるように、パレスチナ側に圧力をかける狙いだ。

資金拠出の停止について、アッバス氏は「米国はパレスチナに敵意を持ち、和平プロセスを終わらせようとしている」と批判。5月に米国は国際社会の反対を無視して、米大使館をエルサレムに移転するなどパレスチナとの溝が深まっている。