(CNN) 米テキサス州の建設現場で今年2月に遺体が発見されたのを皮切りに、これまでに95人の遺体が見つかった。
当局はこれらの遺体について、受刑者の労役施設で強制労働を課されていた解放黒人奴隷のものとの見方を示している。

発見現場はテキサス州ヒューストン郊外にあるシュガーランド。
同州フォートベンド郡の学区が土地を所有しており、新しい技術学校の建設に取りかかっていた。

これらの墓は100年以上にわたり地下に埋もれており、手つかずの状態だった。
しかし研究チームは16日、埋葬されているのは奴隷の遺体とみられると発表。
奴隷制が違法になったものの、多くの黒人は事実上まだ奴隷状態にあったという、忘れられかけた歴史の一時期を明るみに出した。

学区の責任者は声明で、「地域にとっても学区にとっても、郷土史についての学びを深める類いまれな機会だ」と述べている。

発見のきっかけは、1980年代にテキサス州刑務所の看守を務めていたレジナルド・ムーアさんが、
歴史的な墓地に関心を抱いたことだ。

ムーアさんの狙いのひとつは、シュガーランドに存在した「受刑者リースシステム」の過酷な実態を認識してもらうことにある。
このシステムでは、受刑者が強制労働に従事させられていた。

ムーアさんはフォートベンド郡で別の墓地も管理しており、シュガーランドで昨秋に学校建設が始まった際、
付近に他にも墓地があるかもしれないと当局者に告げた。

こうして発見された遺体はそれぞれ木製の棺(ひつぎ)に収められていた。
これまで分析が行われた遺体のうち、1体を除いて全てが男性のもの。年齢は14〜70歳とみられ、
恐らく1878年から1910年の間に埋葬されたものだという。

米国ではリンカーン大統領が1863年に奴隷解放宣言を出したが、それでも強制労働は続いた。

南北戦争が1865年に終結し、奴隷が違法化されたことを受け、テキサス州経済は深刻な不況に突入。
企業は新たな安い労働力を必要としており、刑務所に目をつけた。
受刑者のリースシステムは実質的に、奴隷制を全面的に受け継ぐ形となっていた。

https://www.cnn.co.jp/storage/2018/07/20/41bbc4e8356172134ac318ac022097bb/fort-bend-independent-school-district-historic-grave-super-169.jpg
https://www.cnn.co.jp/storage/2018/07/20/869af187900f42f0610cda44a834d210/t/768/432/d/fort-bend-independent-school-district-historic-grave-remains-super-169.jpg

CNN
https://www.cnn.co.jp/usa/35122795.html