絶滅のおそれが指摘されているウナギについて、
「ワシントン条約」の事務局が国際取引の実態についての調査報告書を公表しました。
ニホンウナギについても、養殖に使われる稚魚の密輸や密漁が横行している可能性を指摘していて、
国際取引の規制につながるのか、今後の議論の行方が注目されます。

野生生物の国際的な取引を規制する「ワシントン条約」の事務局は、
おととし開かれた締約国会議でEU=ヨーロッパ連合から提案されたことを受け、
外部の調査機関に委託してウナギの国際取引の実態調査を進めてきました。

公表された報告書ではニホンウナギについて、日本国内での稚魚の漁獲量と養殖池に入れられた量に大きな開きがあり、
漁獲量の43%から63%が密漁によるものか行政に報告されていない可能性があるとしています。

そして、日本の養殖池に入れられた稚魚の57%から69%は、こうした国内の不透明な漁獲や海外での密輸などをへて、
まかなわれている可能性を指摘しています。

報告書では世界のウナギの状況にも触れていて、2010年にEUでヨーロッパウナギの国際取引の規制が始まったあと、
モロッコなど北アフリカから東アジアへの輸出が急増し、一部は密輸の可能性があるとしているほか、
ヨーロッパウナギの代わりとしてアメリカ原産の種の輸出が急増していると指摘しています。

この報告書は、ことし7月にスイスで開かれるワシントン条約の委員会で取り上げられる予定で、
ニホンウナギを含めたウナギの国際取引の規制につながるのか、今後の議論の行方が注目されます。

関連ソース画像
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180524/K10011450941_1805241731_1805241733_01_02.jpg

NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180524/k10011450941000.html