フランスで、公務員改革などを進めるマクロン政権に反発する国鉄(SNCF)の職員らが4月からストライキを決行し、
3日に1日のペースで電車がストップする事態になっている。
ストが日常生活に溶け込んでいる仏国民は、交通網の乱れに耐えつつ、マクロン政権と国鉄職員の「根比べ」を見守っている。

 「フランスに来るたびに気になるのは天気よりもストさ。客側からすればたまらないよ」。
ストが行われた19日、パリのサンラザール駅で列車の運行状況を確認していた旅行者で英国の会社員、
ピーター・スミスさん(43)は、うんざりした様子で語った。

 国鉄ストは4月から6月28日まで計36日間、行われる予定だ。
ストに参加した職員の給与を補てんするためのクラウドファンディングも始まり、
5月20日現在で約114万ユーロ(約1億5000万円)が寄せられている。

 国民の間ではカーシェアリングや職場以外で仕事をするテレワークが活用されており、ストに伴う昔ほどの大混乱はない。
とはいえ、スト実施日には高速鉄道の運行本数が大幅に減り、利用者の足には影響が出ている。

 仕事が重労働だった蒸気機関車時代の名残で、国鉄職員は、
鉄道の無料利用や終身雇用などさまざまな特権がある「鉄道員」が9割を占める。
マクロン大統領は、巨額の債務を抱える国鉄の採算性向上の一環として、鉄道員の新規採用をやめる方針を打ち出した。

 これに職員が反発した格好だが、国民には「特権」を享受する国鉄に対する不満も根強い。
今月5日付で公表された仏メディアの世論調査では、国鉄ストへの賛同は44%で、反対の56%を下回った。

 政府は1995年にも国鉄改革を試みたが、ストなどの激しい抵抗で断念した経緯がある。
マクロン氏は1日付の経済誌「フォーブス」のインタビューで
「恐らくストは続くだろうが、国鉄改革を諦めたり縮小したりすることはしない。
改革以外の選択肢はないからだ」と、一歩も引かない決意を語った。

画像:ストが実施された国鉄の運行状況を確認する利用客ら
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毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180521/k00/00m/030/092000c