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■日本大使館も在留邦人に注意喚起

フィリピンではバンガライ選挙で殺人事件が起きるのは「恒例」ともいわれ、
前回2013年にも候補者やその関係者の射殺が相次いだ。

このためフィリピン政府は実質的な選挙期間として4月14日から投票の完全集計が終了する予定の5月21日までの選挙期間中、
一般市民が銃火器を携行することを禁止する措置を講じている。
しかし、実態は銃火器の携行、使用が野放し状態であることは、頻発する銃撃、射殺事件が証明している。

国政選挙、地方選挙と同様、バンガライ選挙でも地方の実力者が養っている「私兵組織(PAG=Personal Army Gang)」が、
対立候補や政敵、あるいは報道陣に向けて「沈黙を強要する銃弾」を発射するケースが多いという。
そしてPGAによる犯行に関しては往々にして実行犯あるいはPGAのスポンサーまで司法の裁きを受けさせることが困難なのが実情という。
その理由として、司法関係者の生命すら脅かす存在だからといわれている。

在フィリピン日本大使館は、こうした過去の経緯や今回の選挙でもすでに多数の死者が出ている事態を重視し、
5月2日に在留邦人や渡航予定者に向けた「注意喚起」を出した。

「今後不測の事態の発生も懸念されることから、
最新情報の入手に努め、安全確保に十分注意を払ってください」という趣旨の内容となっている。

「国民が参政権を漏れなく行使できるように」と、投票日の5月14日を大統領布告で特別休日にしたフィリピン。
投票結果が判明するまで文字通り命がけで選挙戦を戦う立候補者たちの戦々恐々とした日々は続く。

ニューズウィーク日本版
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/20-48.php