【カイロ時事】
2015年に欧米など主要6カ国とイランが結んだ核合意は、イランの原子力関連活動を厳しく制限し、
核兵器開発の歯止めとなってきた。米国が一方的に合意から離脱することで、イランが再び核開発追求に傾くリスクが高まった。
中東の覇権をめぐりイランとしのぎを削るサウジアラビアや、イランを敵視する事実上の核保有国イスラエルとの緊張激化が危険水域に達する恐れがあり、「核のドミノ」となる事態も懸念される。
 イランは、米国が離脱すれば対抗措置を取ると再三警告していた。
ロウハニ大統領は8日、「無制限のウラン濃縮再開の準備を指示した」と表明。
ただ、首脳らの発言は保守穏健派と強硬派の間で隔たりがあり、対抗策の具体像は見通せない。

ザリフ外相は8日にツイッターで、当面は米国を除く5カ国と協議を重ね、その結果を受けて対応を決めると述べた。
 混迷が続く中東では、イスラム教シーア派大国のイランの影響力が各地で拡大している。
内戦下のイエメンではシーア派系武装組織への武器供与が疑われ、6日に総選挙が行われたレバノンでは、
イランが後ろ盾のシーア派組織ヒズボラ支持勢力が躍進した。
焦燥感を強めるスンニ派各国が米国を巻き込んで「イラン包囲網」の構築に躍起だが、奏功していないのが実情だ。

時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018050900966&;g=int