■アカデミーの会員3人「辞任」

ノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーの会員(選考委員)の夫で、
自身もアカデミーと深くかかわっていた男性のセクハラ・スキャンダルへの甘い対応に抗議して、
前事務局長を含む会員3人が6日、アカデミーの「辞任」を表明。
9日にはこの男性が長年にわたって文学賞受賞者名を事前に漏洩していた疑惑まで浮上し、
アカデミーの存続が危ぶまれる事態に陥っています。

アカデミーの会員(定員18人)は終身制なので制度上、自らの意思で辞任することはできず、
死去するまで会員の補充もされません。アカデミーとしての意思決定を行うには最低でも12人の出席が必要です。
数年前から会員のうち2人が活動を停止しており、
今回3人が「辞任」表明したことで活動している人数が13人になってしまいました。

今の規約のままだと、あと2人「辞任」すればアカデミーは機能停止に陥る恐れがあります。

■発端は「#MeToo」

米ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏が長年、
映画界での影響力を行使して複数の女優に性的関係を迫っていた事件がきっかけになり、
ツイッターでセクハラを追放する「#MeToo(私も)」運動が世界中に広がりました。
スウェーデン・アカデミーでも昨年11月、地元主要紙ダーゲンス・ニュヘテルによってセクハラ疑惑が報じられました。

アカデミー会員の詩人・作家カタリーナ・フロステンソン氏(65)の夫で
フランス出身の写真家・劇場芸術監督ジャン・クロード・アルノー氏(71)が1996〜2017年にかけ、
アカデミー会員や会員の妻や娘、職員計18人の女性に対して性的関係を迫るなどのセクハラを繰り返していたというのです。
97年にアルノー氏からセクハラを受けたと若い女性がアカデミーに告発しましたが、そのまま放置されたそうです。

ダーゲンス・ニュヘテル紙などによると、
会員の妻を通じてアカデミーと強いつながりを持つようになったアルノー氏は文学フォーラムを運営しており、
10年以降、年12万6,000スウェーデン・クローナ(162万円)の活動資金をアカデミーから提供されていました。
アルノー氏は自分の影響力を笠に着てこのフォーラムで女性たちに関係を強いる一方で、
告発しないよう抑え込んできたそうです。

ダーゲンス・ニュヘテル紙はアルノー氏の実名を出さずに
「カルチャー・プロファイル」という仮名で報道を続けていますが、
アカデミーはこのスクープを受けアルノー氏との関係を一切、断ちました。
アカデミーは法律事務所に依頼して独自調査を進める一方、検察当局も捜査に乗り出しましたが、
今年3月、時効が成立していない13〜15年のレイプや性的暴行についても証拠不十分として捜査を一部打ち切りました。

アルノー氏や当局者はすべての疑惑を否定しています。
アルノー氏への厳しい対応を求めていたペーテル・エングルンド、
クラス・オステルグレン、シェル・エスプマルクの3氏は4月5日の定例会で
妻のフロステンソン氏を追放しないとしたアカデミーの方針は受け入れられないとして「辞任」を決めたと報じられています。

関連ソース画像
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Y!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20180411-00083834/

続く)