米NPOは報道関係者殺害事件未解決指数を発表。比はワースト5位

 米国ニューヨークに本部を置くジャーナリスト保護委員会(CPJ)は10月31日、過去10年間に起きた報道関係者殺害の国別未解決事件指数を発表、フィリピンはワースト5位で、昨年のワースト4位よりもわずかに順位を改善させたが、引き続き報道の自由が危惧される状況が続いている。
 CPJによると、比で2007年9月から今年8月までに殺害され、犯人に有罪判決が出ていない報道関係殺害事件の被害者は少なくとも42人。
 地方政治家の腐敗や犯罪を報道する記者が狙われがちで、公職にある者が容疑者として浮上しても免責を受けやすい傾向にあるという。
 CPJはドゥテルテ大統領が昨年10月、報道関係者の未解決事件や脅迫事件を扱う特別調査チームを編成したことを「進歩」と評価したが、「特別調査チームはいまだに1件も犯人を有罪判決まで持ち込めていない」と遺憾の意を示した。
 またPCJは、03年に発生したダバオ市のラジオ番組司会者殺害事件に当時ダバオ市長だった大統領が関与していると元警官が告発したことを問題視。今年7月、09年に報道関係者32人が犠牲になったミンダナオ地方マギンダナオ州の虐殺事件の被告ら3人が証拠不十分で無罪となったことについては「正義は成し遂げられていない」とした。
 報道関係者の殺害はミンダナオ地方で目立っており、10月24日には南スリガオ州ビスリグ市でラジオ番組司会者が射殺されるなど同地方だけで少なくとも今年4人が殺されている。
 ランキングは、有罪判決が出ていない未解決の報道関係者殺害事件を5件以上抱える12カ国が対象。人口当たりの割合で順位が決まり、ワースト1位はソマリア、2位シリア、3位イラク、4位南スーダン。フィリピンの後には、6位メキシコ、7位パキスタン、8位ブラジルなどが続いた。(遠藤美波)

まにら新聞
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