https://www.nishinippon.co.jp/nnp/culture/article/456316/
2018/10/10/ 06:00

国民的漫画「サザエさん」の作者で、福岡市と縁の深い故長谷川町子さん(1920〜92)の戦後初の漫画作品とみられる6こま漫画が見つかった。
雑誌「青年技師」の45年9月号に収録されており、福岡市博物館の有馬学館長が発見。
長谷川さんは翌年4月にサザエさんの連載を始めたが、終戦から開始までの資料は少なく、サザエさん誕生の過程を知る上で貴重な資料になりそうだ。

青年技師は西日本新聞社が発行し、45年7月号と9月号がある。6こま漫画は表紙裏側の掲載。
1こま目は少年2人が敗戦で泣いているが、2こま目で一転し「サア! ガンバルゾッ」の掛け声。
少年たちは、生活衛生向上のためにゴミ箱作りと、子どもの遊び場整備のためのくい打ちを競う。

有馬館長は登場人物の変わり身の早さに着目。
「食糧難に直面し、一般市民はぐずぐずしていられず、涙を拭って立ち上がるしかなかった。たくましく生きようとした心境がうかがえる」と指摘し、
サザエさんにつながる市民のエネルギーを感じる。

長谷川さんは44年、東京から同市早良区西新に疎開し、西日本新聞社絵画課に勤務。
戦後間もなく退社し福岡の地方紙「夕刊フクニチ」で46年4月にサザエさんの連載を始めた。

長谷川町子美術館(東京)の橋本野乃子学芸部長も戦後初の作品と認めた上で「戦意高揚の挿絵を求められた戦時中から解放され、
自由に自分の進んでいくべき漫画道にシフトしようという意気込みが作品に表れている」と資料価値を評価している。


長谷川町子さんの戦後初の作品とみられる6こま漫画
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