2020年6月30日(火) 朝日新聞名古屋本社 声
アヒルの子 黒いままだったら?   無職 増田千鶴 (福岡県 72)

 以前から「みにくいアヒルの子」の童話には違和感がありました。黒い幼鳥が、他の
白い幼鳥たちにいじめられる。しかし「水辺に映った自身の姿を見て、白鳥になった
ことを知り、他の白鳥に迎え入れられる」。息子の保育園では、ここを「アヒルの群れの
中で白く成長し、飛び立っていく」という形に変えて、お遊戯会の劇をしました。

 「アヒルの子」が黒いままだったらどんな童話になったでしょう。

 先日、ナイジェリア人の父を持つプロ野球・楽天のオコエ瑠偉選手が、保育園で先生が
「アヒルの子」を読んだ時、周りの子にジロジロ見ながら笑われ、「うつむき耳を塞いでた」
とSNSで伝えました。

 多数派と違う少数派を笑い、差別することを童話ですり込む怖さを感じます。生まれ
持った肌の色などで差別やいじめがあってはなりません。

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 余談ですが、オーストラリアに行ったイギリス人たちは、17世紀の末頃に、白鳥と
全く同じ姿をしていながら色は黒い「黒鳥」を発見して大そう驚いたそうです。
 黒鳥のヒナは白っぽい色で、成長すると黒くなります。アンデルセンがこの黒鳥を
知っていたら、どんな童話を書いたでしょうかね?