>>657
(続き)

〈ウージの森で あなたと出会い ウージの下で 千代にさよなら〉

この一節です。レとラを使わない琉球音階をベースにした曲ですが、この歌詞の
部分だけは西洋音階です。琉球音階を使えなかった、三線は弾けなかったという方が
正確です。「日本」が彼や彼女を死に追いやったと知ったからです。

今は辺野古の問題をめぐって日本政府と沖縄の民意が対立していますが、沖縄の
人たちの怒りの中心にあるのは、尊厳の問題なんだと私は感じています。同じ目線に
立って話をするという当たり前のことを本土の側はしてこなかった。日本政府の態度や
ものの言い方には、尊厳に対する敬いや配慮が足りない。

僕の発言で何かが変わるとは思っていないし、こうすべきだと言うつもりもありません。
ただ、遠回りでも地味でもいいから、僕と関わった人が沖縄について、平和について
何か気づいたり、考えたりするような活動を続けたい。

その一つとして、三線のさおの材料になるリュウキュウコクタンを沖縄で育てる
活動を始めています。育つまでに100〜200年くらいかかる。僕も含めて誰も
生きていませんが、育てた木で三線が作られるなら、その間は戦争が起きなかった
ことになります。

(終り)