>>313
(続き)

野党の細分化のほかにもうひとつ、政権交代に展望が開けにくい要因として指摘される
のが、若い世代の動向だ。

選挙の出口調査などで若者の自民支持の役割が高いことから、「若者が保守化している」
と言われて久しい。

だが、「必ずしもそうとは言えません」と話すのは、同僚のウィリー・ジョウ氏との
共著「イデオロギーと日本政治」で世代ごとの政党観の違いを明らかにした遠藤晶久・
早稲田大准教授だ。

遠藤さんらによる国際比較調査の分析によれば、諸外国に比べて日本の若者が
「保守化」しているとのはっきりした傾向は見られない。むしろ日本に特徴的なのは、
自らを左派と位置づける若者でも3割近くが自民に投票する意向を示していることと、
野党支持の極端な少なさだという。

確かに7月の参院選前の朝日新聞の調査を見ても、18〜29歳の自民支持29%に
対し、立憲と日本維新の会、れいわ新選組への支持はそれぞれ2%と際立って少ない。
一方、無党派層は62%を占める。

遠藤さんによると、若者が政党支持を決める時には「自民か他党か無党派か」ではなく
「自民か無党派か」の2択になっている。これが選挙の時には「自民か棄権か」に
なるため、投票者の中でみれば自民支持の割合が高くなる。それで保守化している
ように見えるのではないかという。

(続く)