これまで、ビッグデータは、いわゆるデータサイエンティストのような特殊なスキルを持った層によって分析されてきたという。もちろん、それでは気がつかないことがたくさんある。彼らはビジネスのプロフェッショナルではないからだ。

 だからこそ、それをMicrosoftのいうビッグデータの民主化により、より現場に近いところにいるスタッフやマネージャーがビッグデータを分析できるようにすることで、新たなマーケティング手法を生み、それが新たなビジネスチャンスを生むというわけだ。

 「私、打ちますわよ」というのは小説家のすがやみつるさんが、普通の主婦が、当時ホームページと呼ばれた自分のWebに、個人的な意見をどんどん書き込むようになってきている現象をレポートしたときのタイトルとして記憶している。
今ならさしずめ「私つぶやきますわよ」ということになる。Twitterの140文字という制限は、一気に発信するという気負いの必要な行為のハードルを下げたが、今なお、それは、特定少数の偏った声であることには間違いない。

 POSデータは店にきて買い物をしてくれる客のことは教えてくれても、店に来ない客の論理を語らない。同様につぶやかない層の声はビッグデータとしてつぶやきがどれほど可視化されても見えないのだ。
ソーシャルは決して社会をそのまま反映した縮図ではないことを忘れてはならない。

(山田 祥平)