SNSのビッグデータを分析することで、そこに東急百貨店の魅力の1つが集約されていたことも明らかになったという。このことは、売り上げデータなどだけでは気がつきにくい。
なくなった売り場なのだから、売り上げがゼロになるのは当たり前だ。ゼロには何を乗じてもゼロだ。だからこそ、何かを足さなければならない。そのことに気がついた東急百貨店としてはいちはやくこの不便を解消するために動き始めているそうだ。
もちろん、駅から離れた東急本店には子供服売り場は今もある。だが、駅のすぐそばで買えた子供服を買いに行くにはちょっと遠すぎる。

 渋谷を通り過ぎて新宿まで行ってしまうのは、駅至近の電鉄系百貨店ならではの利便を捨てたからだけではなく、買いたい子供服が売られなくなってしまったからなのだという事実が影響していることに気がついたというのだ。

 もし、ビッグデータを分析していなければ、その対処に動き始めるタイミングは、もっともっと遅くなっていたかもしれないと須崎氏はいう。だから、東急百貨店東横店に子供服売り場が戻ってくるのは、そう遠い話ではなさそうだ。

SNSとビッグデータ

 このように、SNSのビッグデータ活用は、さまざまなマーケティングに使われるようになってきている。

 コンシューマ側の立場から言うと、想いがあれば、Twitterでつぶやくだけで、それを汲んでもらえる可能性が出てきた。まさにソーシャルな時代を象徴する事例であるともいえる。

 今までは届かなかった声が、届くようになるという点で、SNSは重要なコミュニケーションツールだといえる。例え、フォロワーが数人しかいなくても、思ったことをつぶやいておくのは重要だ。
その声を聞いているのは、フォロワーだけではないからだ。その声はビッグデータの一部となって、新しい何かが起こるきっかけになるかもしれない。

 けれども、ビッグデータを分析する側は、Twitterで発言するような層は、社会全体のごくわずかなのだということも忘れてはならない。声なき声は明らかに存在するに違いないのだが、それはビッグデータがどんなに巨大なデータであったとしても、そこには含まれないのだ。