山谷のセレブなホームレス、太陽光でエアコン完備・カギつき!
秋山謙一郎 
https://diamond.jp/articles/amp/141661?display=b

大阪・西成「あいりん地区」に通い、ホームレスたちの苦しみを見つめてきた記者が、“あそこはドヤの田園調布やで”との言葉に興味を持って訪れた東京・山谷地区。
確かに、ここのホームレスたちは、なかなかに快適で優雅な暮らしを送っていた。(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

ドヤ街の田園調布!
冷暖房完備のホームレス生活
「山谷?あそこは“ドヤの田園調布”やがな。ここと比べもんになるかいな。あっちは快適やで!」
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太陽光のおかげでパソコンもテレビも使える。自家発電機も備えていて、冷暖房も完備。山谷では、「ドヤの田園調布」の異名にふさわしいセレブな暮らしぶりを見ることができた Photo by Kenichiro Akiyama(以下同)

 時折取材に訪れる大阪・西成の「あいりん地区」。
10年前まで、東京・山谷の“ドヤ街”で暮らしていたという70代男性は、ヨレヨレの作業服の袖でハナを拭きながら、ワンカップ酒を美味そうにごくっと一気にあおり、フィルターぎりぎりまでタバコをふかしつつ、東京のドヤ街・山谷と西成の違いを話してくれた。

 ドヤとは、「宿(ヤド)」を意味する日雇い労働者たちの隠語だ。
ドヤは広くて3畳、窓がないために日の当たらない部屋が多く、タバコと酒、他人の吐瀉物の入り混じった“西成の匂い”が染みついた布団で寝なければならないなど、およそ人が暮らせるような環境ではない。
とても「ヤド」とは呼べない代物なので、これをひっくり返して“ドヤ”と称したのだという。

 今、日本にドヤ街は3つある。最大規模を誇る大阪・西成、横浜・寿町、そして、もっともその規模が小さいといわれる東京・山谷である。“ドヤ街の田園調布”と異名を取る東京・山谷とはどんなところなのだろうか?

 都心の繁華街・銀座から都営地下鉄・日比谷線に乗ること約25分、南千住駅を降りて、大人の足で10分も歩くと、まるで警察署かと見紛うような大きな交番がある。
これが全国の日雇い労働者たちの間で「マンモス交番」と呼ばれる警視庁浅草警察署の日本堤交番だ。
(略)