ちなみに、真音は、沙也加の死に言及するにあたって、「でもこれからはひとつだね/離れることもなく/ずっとさやを抱き締めるよ」(5)、「僅かな体温/見えない体温 抱き締めている」(6)というように、「抱き締める」という表現を多用している。親愛の情が比喩的に表現されていると一般的に考えられるが(7)、他方で、真音の中で沙也加の想い出と結びついた、ある種の(持続性の)身体感覚が表現されているようにも思える。
もし、真音が、このような文章を書くときに、沙也加の死をどこかで受け容れることができずに、彼女を救えたはずだったあの夜の記憶を無意識に辿っていたとするならば、あの夜、実は、彼女は「会った瞬間ハグをした」(8)だけでなく、慰め励ましている間も抱擁し続けていたのではないかという気がする。女の子同士ならそういうやり取りも充分あり得ることだろう(9)。
(5)ttps://twitter.com/kurosakimaon/status/1472578026286493696
(6)ttps://www.uta-net.com/song/329962/
(7)ttps://lavender.5ch.net/test/read.cgi/drama/1683737593/536
(8)ttps://www.instagram.com/p/CXtMHqAvY1x/
(9)これは、沙也加急逝の一報を受けた直後の一連のツイートのひとつ「さや/早く帰っておいで/寒いでしょ」という、少し不思議な表現にも表れている気がする。要するに「自分の所へ帰って来い」ということだろう(Cf.(2))が、必然的に抱擁の感覚へも結び付きそうな表現でもある。
ttps://twitter.com/kurosakimaon/status/1472576613972066305
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