WTOの協定に触れる可能性も

【ワシントン時事】米議会共和党は、輸入への課税を強化し、輸出は税を減免する「国境税」の導入を検討している。

法人税制改革の柱となり、トランプ次期大統領が掲げる、企業の生産拠点の「米国回帰」を促す仕組みだ。ただ、保護主義的な面があり、
世界貿易機関(WTO)協定に抵触する恐れがある。

共和党指導部による税制改正原案では、米国への輸入は経費控除を認めず、法人税負担が重くなる。一方で、輸出は税負担が軽くなり、
優遇される。同党は、この仕組みを法人税率(最高35%)の引き下げとともに、次期政権幹部に説明し、支持を求めている。折り合いが
付けば、2月にも法案を発表する。
トランプ氏はこれに同調するように「国境税」という言葉を使って、企業の米国外投資計画を批判。5日にはトヨタ自動車をツイッターで
「巨額の国境税を課す」と脅した。
米国の連邦税制には、日本や欧州のような付加価値税(消費税)がない。日欧の企業は完成品の輸出時に原材料の仕入れで払った税を
返金されるが、米企業は輸出時の税還付がない上、日欧などの輸出先で課税され、「貿易競争で不利」と不満を募らせていた。このため、
国境税により企業の米国内投資、雇用創出が促されるとの期待がある。

しかし、WTOは原則、法人所得の税還付を輸出時に行うことを認めていない。また、輸出に有利な仕組みであることから、WTOが禁じる
「輸出補助金」に当たるとの見方もある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170114-00000056-jij-n_ame