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第010回国会 厚生委員会 第6号
昭和二十六年二月十五日(木曜日)

○参考人(林しよう君)

一番多いのは幻覚、殊に耳に聞えて来るというもの、ちよつと分裂病の
或る時期に似たような状態になりまして、大抵自分の悪口とか、それか
ら批評とか、指図というようなことが聞えて来る、ああしろ、こうしろ
と言われるとか、悪口を言われるとか、それから批評をされるというよ
うなことです。それから人によりましては、目に見えて来る人がこの頃
まれにございます。大抵はこれは細かいものが虫に見えるという人が多
うございます。で、まあ天井から細かい虫が落ちて来る、それで痒くて
かなわんとか、体を刺されるとか、非常に落着きがなくなります。

それから天井から毒が降つて来るとかいうような人もおりまして、もう
大騒ぎをやつて家中掃除する。天井を外してしまう。

成る人は折角建てた新らしい家を壊して、十間ばかり引ずつて建てたと
いうような人もおります。これは奥さんと二人でやつて、両方ともそう
なつております。何か奥さんが羽目板を洗つているから何をしていると
いうと、虫がいてしようがないから、洗つているというようなこと、
これは或る文士の人でございますけれども……。

それから私の知つているお医者さんで、そういうのがおります。

こみを拾つて顯微鏡でばかり見ている。
しようがなくて困つているのですが、ごみを拾つては顯微鏡で
見て、虫だと言つて、論文を書くと言い出したので困り出した
人がおります。非常に落着きがなくなつて短気になつております。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/010/0790/01002150790006c.html