「無功徳」

南朝梁の天子武帝は熱心な仏教信者。
自ら袈裟をつけ「放光般若経」の講義をし、世人は喜び「仏心天子」と賞賛した。
インドから大聖達磨が渡来したと聞くと、勅使をたてて都に迎えた。
早速相見した武帝は開口一番とくとくとして質問した。

私は多くの仏寺を建立し、たくさんの僧に度牒を与えて供養した。
さだめし広大な功徳があることであろう。と武帝は語った。

しかし、それに対して大師の答は
「功徳など無い!」

功徳を思い現世利益を求める心が、すでにもう真の宗教とは無縁のものである。
一点なお自己を思うの念のある間は、真正の宗教心とは言えない。
(六祖壇経)