「最悪だったのは、四月三日の夜です。
その日は明石でコンサートが終わった後に、岡山へ移動というハードスケジュールだったため、氷川さんは朝から機嫌が悪く、空港に向かう車内でも『おい、おっさん』『中年太り』などと罵倒され、モノを投げつけられるような状態でした。
そして一行が岡山全日空ホテルにチェックインした直後、事件は起きた。
「宿泊するスイートルームがある十四階でエレベーターが停まり、私は氷川さんが降りるのを待つため、エレベーターの開ボタンを押そうとしたのです。
すると突然、後ろから頭を殴られた。激痛が走りました。振り返ると氷川さんがお気に入りのグッチのカバンを両手で持ち、頭上高く振り上げていました。
まずい、と思った瞬間にもう一発。『開ける押しますじゃないよ、バカ』と言いながら、今度は左足を思いっきり蹴ってきたんです。
氷川さんはごっついブーツを履いていたので、蹴られた脛からは出血しました。
さらに、『そんなことはどうでもいいんだよ、おめえよお』と叫びながら手にしていたペットボトルを投げつけてきた。
それが私の背中にあたり、痛みでうずくまっていると、音を聞きつけたJさんが飛んできて『(防犯)カメラに映ってるから。放っとけ』と止めに入った。
しかし、氷川さんの暴力はなかなか止まりませんでした。
やはり一番怖かったのは、暴力でした」
少し前から、後藤氏は窮状を訴えるための証拠として、暴行の様子を録音するようになっていた。
本誌も確認したが、このときの音声は、まさに地獄のイジメ現場そのものだ。