8月1日に開幕した「あいちトリエンナーレ2019」が、10月14日で75日の会期を終えた。入場者数は65万人以上で、あい
ちトリエンナーレ史上最高を記録したという。

 あいちトリエンナーレ2019では、開幕まもない8月3日に愛知芸術文化センターで展示されていた「表現の不自由展・そ
の後」が展示中止となり、それ以降海外作家たちを中心にした展示中止・変更が起こった。また、参加アーティストのな
かから「ReFreedom_Aichi」や「サナトリウム」「多賀宮」といった様々なプロジェクトが生まれたことも印象深い。


 不自由展そのものは10月8日に再開。それにあわせてすべての展示が開幕当初の姿に戻ったことで、閉幕を前にし
て再び大きな注目を集めたあいちトリエンナーレ。最終日となった14日には、愛知芸術文化センターで芸術監督・津田
大介や大村秀章愛知県知事をはじめ、キュレーターや参加作家らが最後の来館者を見送り、大きな拍手が起こる場面も見られた。

 この日の閉幕後、トリエンナーレ実行委員会会長を務めた大村知事と津田大介芸術監督がそれぞれ記者会見に応じ、心境を語った。

 大村知事は今回のトリエンナーレを「様々な課題・難題が降りかかってくる75日間だった」としながら、「応援していただ
いた皆様に感謝。中止に追い込まれた展示が全面再開した例は世界でもない。漕ぎ着けたのは関係者すべての思いが
ひとつになった成果ではないか」と振り返る。

 トリエンナーレでは、不自由展をめぐる一連の動きを踏まえ、「芸術の自由」を盛り込んだ「あいち宣言(プロトコル)」を
取りまとめる予定だ。すでに宣言草案は会長宛てに送付されている。大村知事は「あいちトリエンナーレのあり方検討委
員会」にワーキング・グループつくり、そして作家やキュレーター、有識者を交えながら完成させたいという意向を明らか
にした。また、「今回の様々な成果や反省を糧に、2022年に向けて取り組んでいきたい」として、3年後の次回展への意欲を早くもにじませた。